創作漢字コンテスト

第5回 創作漢字コンテスト

受賞作品一覧

最優秀賞

ソウ
じゅもくそう
樹木葬
東京都大田区
大友美幸さん(41)

樹木葬は最近、話題になっていますが、少子化などでこの先、お墓を守るようなことも無くなっていくのかと思い、この漢字を作りました。 初めての応募ですが、世相を反映した漢字で受賞できうれしいです。

富国生命優秀賞(A部門)

  • シン
    もんしん
    診察前にチェックする。
    静岡県伊豆の国市
    太田紀子さん(56)
  • オウ
    きおち
    気落ちする。落胆する。へこむ。
    兵庫県西宮市
    足立善男さん(63)
  • ソウ
    そうふう・さわやかかぜ
    爽やかな風。
    岐阜県大垣市
    江村彩さん(37)
  • ミン
    うたたね
    目を半分開けて眠っている様子。
    茨城県筑西市
    清水美智子さん(48)
  • ケン
    あるきスマホ・うつむきあるく
    スマホを見ながらうつむき歩く姿。
    新潟市西区
    橋立英樹さん(47)

Z会優秀賞(B部門)

  • セイ
    でゅえっと
    二人で歌を歌うこと。
    京都府宇治市
    大前仁美さん(16)
  • オツジョ
    おとめ
    年の若い娘。
    大津市
    中尾匠さん(15)
  • おりがみ
    折り紙。
    京都市伏見区
    山本貴大さん(13)
  • サン
    かけざん
    掛け算。
    大阪府高槻市
    福永圭佑さん(11)
  • セイブツ
    いきもの
    生物。
    東京都世田谷区
    榎戸えいみさん(14)

「成語・慣用句」部門

  • ばきゃくをあらわす
    隠していた正体が現れてしまうこと。馬脚を現す。
    川崎市麻生区
    杉本湘路さん(68)
  • セイ・セ
    よがよならば
    世が世ならば。
    浜松市浜北区
    斉藤雄二さん(65)
  • トウ
    あてはずれ
    当ての最後が外れ。
    奈良市
    鈴木陽一さん(73)
  • ラン
    コロンブスのたまご
    簡単そうなことでも最初に行うことは難しい。
    東京都品川区
    佐藤真由さん(32)
  • ずにのる
    調子にのってつけあがる。
    和歌山市
    土井弘美さん(62)

佳作

  • サン
    おりたたみがさ
    折り畳み傘。
    広島県江田島市
    宇土原美月さん(17)
  • ソウ・ソク
    フライング
    足がスタートラインより前に出ている。
    川崎市川崎区
    金将秀さん(15)
  • ジュン
    うるう
    閏年(1日多い)。
    大阪市阿倍野区
    小西欣一さん(78)
  • ジュ
    にごりざけ
    どぶろく。
    郡馬県伊勢崎市
    関根範行さん(65)
  • ノウ
    プラスしこう
    「メ」ではなく「+(プラス)」。
    島根県出雲市
    橋本健哉さん(22)
  • ビー
    びーきゅうぐるめ
    地方独特の美味しい食べ物。
    長野県南箕輪村
    北澤駿哉さん(20)
  • ユウ
    みぎかたあがり
    向上する。
    山口県光市
    有沢二夫さん(89)
  • エイ
    りったいえいが
    立体的に見える映画。
    山形市
    鈴木一義さん(57)

※佳作の対象は10作品でしたが、審査の結果、8作品となりました。ご了承ください。

コンテストの総評

教育的な意義生みだす

質・量ともに激戦であった。小・中・高生からの大量の応募には各校教員の勧めや指導もあった。同じく遠くはハンガリーのエルテ大学の日本語を学んでいる学生20人の応募(例えば選外だがバージョニ・アッティラ君の「」[てんびん])も担当日本人教員、内川かずみ氏の指導があり、創作漢字が内外に教育的意義を生みだしていることはうれしかった。
毎年、時事的創作があり、今回は土石流をテーマとしたものが多くあった。しかし、被害者への悼(いた)みといった視点は乏しく、土と石と水との単なる組み合わせに終わったのは残念である。
同じ時事的創作ではあるが「(そう)」は、樹木葬すなわち墓石碑を建てない納骨方法を表している。元来、東北アジアでは、遺体は風葬(ふうそう)(野ざらし)した。それが「葬」字(草むらの中に遺体を置く形)であり、風葬して残った遺骨を墳や墓に納めた。そういう歴史の今日、樹木葬が登場した。当然、賛否両論ある。日本の家族のこれからのありかたに重い一石を投じた感があり、最優秀賞となった。
」等は、見た瞬間にその意味が分かり好評であった。
成語・慣用句部門に入賞した「(世が世ならば)・(馬脚を現す)・(コロンブスの卵)」等には、長いことばを一漢字でよくぞ表したと審査員一同がうなった。
選外だが、「(山くずれ)・(肉ばなれ)・(ゆかた)・(大口をたたく)・(水も滴るいい男)」等が印象に残った。
同じく選外に「(日めくり)・(郵貯)」等の力作があったがデザイン的すぎた。将来、デザイン部門を新設する必要を感じた。

審査委員長 加地 伸行
(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所 前所長)

昭和11年(1936)大阪生まれ。大阪大学名誉教授。立命館大学研究顧問。文学博士。 中国哲学専攻。著書『儒教とは何か』(中公新書)、『沈黙の宗教-儒教』(ちくま 学芸文庫)、『論語全訳注』(講談社学術文庫)など