創作漢字コンテスト

第9回 創作漢字コンテスト

受賞作品一覧

最優秀賞

※全応募者対象

比較する・競争する(コンプレックス)
北海道函館市
畠山貴大さん(27)

私の好きな言葉に「皆違って皆良い」という言葉があります。コンプレックスは周囲と自分を比較するということなので、漢字を考察していて「」という漢字が思いつきました。

心を鬼にする
北海道江別市
山重真一さん(63)

高校の国語教員であるため、漢字には興味があります。また、生徒のことを思い、時には文字通り「心を鬼」にしなければならない 場面もあり、その実感を漢字一文宇に託しました。

富国生命優秀賞(A部門)

※社会人・大学生対象

  • メイ
    キラキラネーム
    徳島県徳島市
    平川真澄さん(41)
  • はなふぶき(花吹雪)
    京都府木津川市
    西崎美也子さん(61)
  • させつ(左折)か
    奈良県奈良市
    宮狭淳泰さん(65)
  • ザン
    ゆいごん(遺言)
    山形県山形市
    遠藤克也さん(83)
  • カイ
    かいらん(回覧)
    大阪府高槻市
    岡林一藏さん(92)

Z会優秀賞(B部門)

※高校生対象

  • ウイ(雨衣)
    レインコート
    埼玉県春日部市
    草加東高 工藤真さん(16)
  • ウイ(雨衣)
    レインコート
    東京都目黒区
    中根小 小林岳裕さん(11)
  • パイ
    むげん(無限)
    京都府京都市
    立命館高 塚腰龍希さん(15)
  • ドレス
    岡山県和気町
    瀬戸南高 徳永唯伽さん(15)
  • フウ
    あらし(嵐)
    三重県桑名市
    桑名北高 椙尾祐月さん(16)
  • レイ
    つきがきれいですね
    広島県広島市
    ノートルダム清心高
    木川萌々子さん(17)

Z会優秀賞(C部門)

※小・中学生対象

  • ガイ
    テント
    京都府京都市
    立命館小 山下紗和さん(8)
  • ボシ
    ぶんすう(分数)
    長野県松本市
    芳川小 山本季央理さん(10)
  • チク
    たけうま(竹馬)
    長野県松本市
    芳川小 大島諒汰さん(11)
  • シャ
    しゃこ(車庫)
    神奈川県川崎市
    宮内中 髙田ゆいさん(13)
  • マンジ
    ジョンまんじろう(万次郎)
    宮城県東松島市
    矢本第一中 大坂谷寧々さん(13)

特別賞(成語・慣用句部門)

※全応募者対象

  • ミツ
    密談
    京都府長岡京市
    立命館中 中谷柊太さん(14)
  • ガン
    願ったり叶(かな)ったり
    広島県広島市
    ノートルダム清心中
    植月美葵さん(14)
  • ヒン
    品定め
    広島県広島市
    ノートルダム清心高
    濵田真緒さん(16)
  • トウ
    頭が古い
    静岡県浜松市
    大杉博一さん(65)
  • モク
    目分量(めぶんりょう)
    大阪府高槻市
    中山勝さん(74)

佳作

※全応募者対象

  • おにごっこ
    栃木県那須塩原市
    三島中 阿久津乙瑠さん(13)
  • ガッピ
    カレンダー
    青森県おいらせ町
    木ノ下中 谷川美結さん(14)
  • カーテン
    お休みなさい
    北海道札幌市
    立命館慶祥中
    掛水美沙さん(14)
  • オシツケ
    昇って天下り(あまくだり)
    京都府京都市
    立命館高 塚腰龍希さん(15)
  • ビョウ
    ねこかぶり
    広島県広島市
    ノートルダム清心中
    山本理子さん(15)
  • ニッチョク
    にっちょく(日直)
    宮城県石巻市
    宮城県水産高
    佐々木里緒菜さん(17)
  • ジョ
    チアガール
    東京都練馬区
    東亜学園高
    小林ゆり佳さん(17)
  • サユウ
    どっち?
    東京都豊島区
    崎山すなおさん(26)
  • スイ
    ダム
    兵庫県宝塚市
    中野晃典さん(33)
  • 母は強し
    北海道札幌市
    平久保景子さん(36)

富国生命・審査委員長特別賞

※全応募者対象

  • ボク
    ログハウス
    青森県おいらせ町
    木ノ下中 松林美希さん(13)
  • ジョウ
    りんご
    青森県六戸町
    七百中 根城優菜さん(13)
    ※原図のママ
  • セイ
    土星
    京都府長岡京市
    立命館中 村田真緒さん(14)
  • 無し
    むしめがね
    広島県広島市
    ノートルダム清心中
    佐藤怜さん(14)

コンテストの総評

高い質と意外性 苦心に敬意

今回から高校生の部を新設したところ、多数の応募があり、しかも優秀な作品が多く、充実した結果となった。また学校でまとめての参加も多く、先生方の御指導のあとがうかがえた。感謝感謝。
入賞作品の質が高く、しかも意外性があり、応募者の苦心には敬意を表する。
中でも、塚腰龍希君(15歳)の作品二点「 」が入賞したのは異例であるが、作品の実力を認めての結果である。
富国生命・審査委員長特別賞の四作品は、単純な直線や円によって的確に対象を描き出している。その四点の内、リンゴをあえて創作者の自筆で示したのは、リンゴの実感をよく描いているからである。これをいわゆる明朝活字体にすると、リアリティーが失われる。また佐藤怜さんの「むしめがね」に接したとき、正直言って唸った。
」「」は、漢字に絵の要素を巧みに取り入れ、見事見事。「」すなわち「左折可」という標識を警察が採用すれば、事故をかなり防げるのではなかろうか。
(ジョン万次郎)」には参った参った。よくぞ思いついた。
同じレインコートでも「」あるいは「」となる。雨・衣両者の組み合わせによっての変化には、漢字の自由さがよく出ているし、「(心を鬼にする)」「(鬼ごっこ)」こうした創作漢字で教えるとすぐ「鬼」字を覚えることができよう。文科省は漢字教育の方法を見直すべきだ。
審査して痛感するのは、盗作が多いことである。可能なかぎり削ったが、それでも相当に残った。
生徒諸君に告げる。盗作は最低の行為である。学問するというのは、自分の力で生きてゆく精神を鍛えることなのだ。

審査委員長 加地 伸行
(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所 前所長)

昭和11年(1936)大阪生まれ。大阪大学名誉教授。立命館大学研究顧問。文学博士。 中国哲学専攻。著書『儒教とは何か』(中公新書)、『沈黙の宗教-儒教』(ちくま 学芸文庫)、『論語全訳注』(講談社学術文庫)など